「サーフィンをするか、絵を描くか、どちらかでなければならない。」
レイモン・ペティボンの代表的な作品であるサーファーと波をテーマにした本書は、その真髄を伝える一冊です。

ペティボンは、そのミステリアスな美意識とアメリカ文化に対する鋭い風刺で知られています。彼の作品はシニシズムに満ちていますが、いわゆるハイカルチャーとローカルチャーの両方にまたがっているため、私たち自身の人間性や狂気をあぶり出します。ペティボンの作品に登場する多くのモチーフの中で最も詩的なのは、おそらくサーファーでしょう。1985年、ペティボンはサーファーと波のシリーズを開始し、現在も制作を続けています。それは、一人のサーファーが、ありえないほど大きな波に向かって黙々と「美の線」を刻んでいく姿です。

本書では、紙に描かれた単色の小品から、壁に直接描かれた色鮮やかな大作まで、100点以上のサーファー・シリーズにスポットを当てます。ペティボンの描く主人公にとって、サーフィンは他の何ものとも切り離された存在であり、一瞬、波の上で崇高さを獲得した姿は、遠く離れていながら激動する現実とシンクロします。私たちは、自然の力、私たちの手に負えないものを前にして、自分の小ささ、弱さを直視せざるを得ないのです。ペティボンは、この絵の表面に、彼自身と文学から引用した抒情的な文章を書き、彼自身の哲学と現実の混乱に言及し、彼が関わる世界の偽善と虚栄を批判し浮き彫りにしています。

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David Zwirner Books 2022年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 318×260mm ハードカバー 208ページ
ISBN: 9781644230350