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Gavin Bond


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Gavin Bond Idea

ニューヨークを拠点に活動するイギリス人ファッションフォトグラファー、ギャビン・ボンド(Gavin Bond)の作品集。2022年9月から10月にわたりロンドンのギャラリー「Hamiltons」で開催された展覧会に伴い刊行された。本書は、90年代を代表するファッションショーの舞台裏を垣間見ることができる視覚的なファッション史である。

作者初の個展では、作者のアーカイブを掘り下げ、無数のファッションの「瞬間」を紹介している。2020年、新型コロナウイルス感染症の蔓延によるロックダウン中にこの膨大なイメージコレクションを再発見した作者はこのとき、名門校「セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins / 通称 CSM)」でファッションを学んでいた若き日を思い出した。1988年、作者はCSMに入学し、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、フセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)、ジャイルズ・ディーコン(Giles Deacon)、伝説のスタイリストであるケイティ・グランド(Katie Grand)ら、同校の卒業生としてよく知られている面々と共に学んだ。ファッション学生として作者はロンドン・ファッション・ウィークに招待され、ここでは、ファッションショーのバックステージのワイルドな世界にカメラを持って飛び込むことができた。

次第にイギリス高級紙『The Independent』のファッション編集を務めるマリオン・ヒューム(Marion Hume)に見出され、早くから作者の支持者となったヒュームは、ロンドン、パリやミラノのショーのために舞台裏を魅力的に記録すべく依頼するようになった。また、1993年3月、ジョン・ウォルフォード(John Wolford)が、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)のショー「アングロマニア」のバックステージの撮影で作者を起用した。作者は、ウエストウッドの有名な94年春夏コレクション「Café Society」で、再びバックステージの撮影を行った。パンクの女王から英国ファッション界の大女優に転身したウエストウッドは、作者の写真をモンタージュしてプロモーション用の折り込みポスターを制作し、結果、作者曰く「素晴らしい名刺」となった。

舞台裏の様子を捉えるため、作者はシンプルなテクニックで素早くかつ控えめに、自然光のみ用いて撮影を行なった。浅い被写界深度は、デザイナーの一瞬の姿や、「グッチ(Gucci)」や「ジョン ガリアーノ(John Galliano)」、「カール ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)」や「クリスチャン ラクロワ(Christian Lacroix)」、「ヴァレンティノ(Valentino)」や「ヴェルサーチェ(Versace)」を着たモデルがランウェイを歩くときのドレスの乱れなど、目の前で起こっていることを捉えるのに効果的であった。速く動くために、作者はカメラの露出を制限し、距離に応じてレンズ口径を調整した。1本のフィルムに12枚しかないため、すべての写真をどう撮るか考えなければならなかったと、作者は振り返る。

作者は、ポップカルチャー、ファッション史における注目すべき時期、そしてスーパーモデル全盛期に活躍したカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)、 シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)、クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、ケイト・モス(Kate Moss)、リンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、そして彼女たちの間で生まれた印象的な姉妹関係を、作者独自のルポルタージュ的なスタイルで記録することができた。ハイファッションといったエクスクルーシブな世界に対するユニークな洞察力を持つ作者は、『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』、『ヴォーグ(Vogue)』、『エル(Elle)』、『マリ・クレール(Marie Claire)』、『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』などの刊行物に寄稿している。また、『British GQ』誌のレギュラー・コントリビューターである作者は、35以上の表紙を撮影している。現在、作者はエンターテイメント写真の世界で、世界中の主要な映画スタジオのマーケティングや宣伝、キャンペーンを撮影している。

この展覧会は、約50枚のゼラチンシルバープリントからなるユニークなグリッドで構成されており、バックステージに「いる('being there’)」ような感覚を再現するように配置されている。このインスタレーションは、初公開となる大判のエディション付きゼラチンシルバープリントのセレクションとともに展示された。

本書は、表紙を飾っているアメリカ人モデル、クリスティー・ターリントンによる前書きとオークションハウス「クリスティーズ(Christie's)」や「サザビーズ(Sotheby's)」の写真部門のディレクターを務めた、フィリップ・ガーナー(Philippe Garner)による序文を収録。ポスター付き。
Idea 2022年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 325mm×240mm ハードカバー 268ページ
  • 17,600円(税込)